「マレットファンの周りの輝く人」。第3回はタイで初めての子ども図書館で働く、笑顔がすてきなプックさんです。
タイで初めての幼児向け図書館として2015年に開設したダルン・バンナライ図書館。子どもを意味すると「ダルン」とライブラリーを意味する「バンナライ」は、シリントーン王女様が名付けられたそうです。100年前の伝統建築を改装したこの図書館は、さわやかなミントグリーンの壁ときれいな軒先の装飾が印象的。芝のお庭とカフェも整備して、親子が安心して過ごせる心地よい場所になっています。
好きな本を好きなところで読んでいい子ども図書館
笑顔がはじけるプックさんは子ども図書館のスタッフ。2年前にここでお手伝いを始め、昨年からは職員として働いています。プックさんはまずはじめに、図書館が一番大切にしていることを教えてくれました。「この図書館は子どもが自由に好きな本を手に取って、どこで読んでもいいし、ゴロゴロしながら読んでもいいんです」。
椅子に座って机の上で本を読む、というのが読書に対するこれまでの考え方。それは言い換えれば、椅子と机がなければ本は読めない、ということになってしまいます。いやいやそんなことはない、本は外で読んでもいいし、寝転んで読んでもいいし、遊びに行くときに持っていってもいい、本はいつでもどこでも読んでいいんだよ。それはこの図書館を運営するNGO、Books for Childrenの指針でもあります。
なんとすてきな図書館なんでしょう。ここの蔵書は4000冊、年齢別に部屋を分け、年齢にあった絵本を置いています。「棚に並べるのではなく、なるべく表紙が見えるように工夫して展示しています。子どもにどんな絵本かが伝わるようにと。それでおもしろそうだなぁという本を手にとってもらえればうれしいな」と思っています。小さいうちから本と触れ合い、本を読むことに慣れると、大きくなってからもずっと本が身近な存在になります。自然に本を楽しんでほしい。それがこの図書館の思いです。
本を通じて交流も育む図書館
プックさんたちは楽しいイベントを毎週開催しています。例えば子ども向けイベントでは「お花」をテーマを決め、紙でお花を作ったり、お花の歌を歌ったり、お花の本を読んだり。遊びと音楽と物語を組み合わせて、子どもたちに楽しい体験をしてほしいと考えています。
ここでは静かにしなくても大丈夫。図書館の一角でお父さんがひざの上に子どもを乗せて読み聞かせをしていてもいいんです。そのお父さんが上手に読んでいたら、ほかの子どもたちが来て一緒に聞くのもいい。「どうやったらそんなに上手に読めるんですか」と親同士の交流が生まれてもいい。本を通じて、親子、子ども同士、親同士、いろんな交流が生まれるのです。
プックさんは瞳を輝かせて話します。「この図書館には本が好きな人たちが集まってきます。子どもも大人もみんな。親が子どもに読んであげる姿も愛情がいっぱいです。たくさんの愛があふれるこの職場が大好きです」。
プックさんとマレットファンとの出会いは?
児童文学学科の学生だった頃、久美さんやムアイさんたちが開催したワークショップに参加しました。そこで布を使ったり牛乳パックをリサイクルした手作りおもちゃを習い、「こんな身近なものでこんなに簡単に楽しいものができるんだ!」と大感激。それから自分で布を買って人形を作るようになりました。数年経ち、TKパークで開催されたえほん展に参加すると、知っている面々が!その再会以来、マレットファンのイベントをちょくちょくお手伝いしています。最初に学んだ手作りおもちゃの経験は宝物。今もいろんなおもちゃ作りを続けています。職場の図書館でも、布人形を作ってイベントで活用したり、子どもたちと一緒に紙工作をしたり。どれも子どもたちに大人気です。
プックさんのマレットファン(夢のたね)は?
小さいうちから本となかよしになって本の楽しさを知ってほしいなと思います。子どもたちのよろこぶ顔が大好きです。
Darunbannnalai Children’s Library : https://www.darunbannnalai.on.th/