教育NGOのマレットファンを応援するシリーズ第3弾は、モンテッソーリ・プレイ&ラーン(Montessori Play&Learn)の園長先生、ジェーンさんです。遊び場がいっぱいの幼稚園へ行ってきました。
朝9時。小さな子どもたちがパパやママに手を引かれてやってきました。「サワディーカー!」。笑顔で迎えるのは園長先生のジェーンさん。住宅街にある自宅を開放して、自由に遊びながら学ぶ幼稚園「Montessori Play & Learn」を運営しています。
昔ながらのタイの家で、自由に遊んで学ぶ幼稚園
落ち着いた古木のタイ伝統家屋。「20年前に父が建てたのですがずっと使っていなくて。ここで幼稚園を始めてもいいですかと父に聞いてみたら、どうぞやりなさいと」。その木造家屋の2階には天井の高いひろびろした部屋が3つ。時を経た木の床はつやつやです。ゴロゴロしたいなぁと思っているとジェーンさん、「ぜひ!ここは自由に遊ぶところですから」。
ジェーンさんの幼稚園が取り入れているのはモンテッソーリ教育法。身近な素材を使って遊びながら五感を刺激し、体験を通して学ぶ教育法です。部屋の壁ぎわには子どもの背丈に合わせた低い棚が配置されていて、おままごとサイズの籐カゴが等間隔で並んでいます。カゴの中は、ビー玉をお皿に移すセットやスプーンで豆をすくうセット、瓶から瓶に液体を移すセット、容器とキャップを合わせるセットなど。子どもたちは興味ある道具のセットを自分で選び、床にマットを敷き、その上で遊びます。
先生が教えるのは、子どもが初めて選んだ道具の使い方だけ。あとは見守ることに徹します。遊ぶうちにぐちゃぐちゃになっても、こぼれちゃっても、子どもが自力でお片づけするように導くのみ。それでめちゃくちゃに拭いてしまっても、逆に飛び散ってしまっても、大人はじっと我慢。子どもが自分でやる力を重んじて「NOは言わない」のが原則です。
「フルタイムママ」が見つけた、娘にあった教え方
ジェーンさんがこの教育法に出会ったきっかけはひょんなことでした。「1700バーツの高いおもちゃを買ったのに、娘は2回しか遊ばなかったの。もったいないでしょう? それで、ほかにはどんなおもちゃがあるんだろう、と検索したんです」。
見つけたのは、おもちゃで自由に遊びながら、その背景にある仕組みを理解し、何をすべきかを自分で考える力が身につくという教育法。準備するものは市場で揃うような身近な素材で、あとは子どもが安心して遊べる環境を整えるだけ。講習会に参加したジェーンさんは、自宅に戻るとさっそく小さな棚をひとつ作り、道具のセットを用意して、娘さんを遊ばせました。
「娘が夢中になってね。集中するんです。すごく。それで夏休みになると娘のお友達も誘って同じように遊ばせてみました。それがとっても好評で」。どの子に対しても熱心に向き合うジェーンさんに、ご主人は言ったそうです。「幼稚園、やってみたら?」。それがこの幼稚園の始まりでした。
子どもの持っている力を伸ばしたい
ジェーンさんの幼稚園では子どもたちがのびのびしています。一人でじっくり遊ぶ子もいれば、みんなでおやつを楽しもうと働きかける子もいます。
「子どもはそれぞれ。いろいろな個性のある子どもたちを受け入れて、それぞれの可能性を広げていきたいです」。キャリアウーマンからフルタイムママになり幼稚園を作ってしまったジェーンさんは、もうすっかり教育者です。
幼い頃から自分で解決し工夫する力を身につけた娘さんはもう10歳。塾へ通う同級生も多いなか、わからないことは先生に質問するなど学校の授業だけに集中して自分のやり方で勉強しているそうです。母・ジェーンさんに導かれて、自分の力で学ぶことのできる生徒さんに成長したんですね。
ジムさんとマレットファンとの出会いは?
「インターネットでマレットファンのことを知って、絵本のイベントに参加したのがマレットファンとの出会いです。日本から来た加藤啓子先生に絵本の読み方を教わり、絵本がクリエイティブで想像力をかきたてるものなんだって初めて知りました。マレットファンが主催する日本のスタディツアーにも参加しました。幼稚園から大学の教育学部、障がい者のサポート施設まで訪問し、日本の教育の全体像を知ることができました。視察場所の選定も準備もアテンドも素晴らしくて、私が参加した後も継続して幼稚園の先生に参加してもらっています。マレットファンの3人は本当に熱心。その熱意にはいつも驚かされています。
ジェーンさんのマレットファン(夢のたね)は?
小学生向けにモンテッソーリ教育法のクラスを作ること。子どもたちがトライ&エラーを繰り返しながら学ぶ場をもっと作りたいです。
Montessori Play & Learn:https://www.facebook.com/MontessoriPlayandLearn/