「絵本って笑っちゃうものなんだ。楽しいんだ。そう知ってからは、絵本の楽しさをたくさんの人に知ってもらいたいと思っています」。マレットファンの一人、絵本が大好きなギップさんに会いに行ってきました。

 

 

 

 

ニコニコ笑顔がトレードマークのギップさん。子どもの頃、近所にあった日本のNGOが運営する図書館に行くのが好きでした。そこで見つけたのが『窓ぎわのトットちゃん』。いわさきちひろさんの表紙がかわいくて、読んでみたらすっかり夢中に。以来、本が大好きです。

 

 

「日本に行きたい」という夢が叶った

 図書館で働けば好きなだけ本が読める。そう思って子どもの頃から親しんできた図書館で働き始めました。そこはスラムの中の図書館。ギップさんもそうだったように、近所に暮らす子どもたちがやってきます。本を読んであげたり、宿題を見てあげたり、その他にも事務などやることがいっぱい。残念ながら自分のための本を読む時間はありませんでしたが、図書館の母体であるNGOの研修生として、ギップさんは日本の幼稚園で8ヶ月間勉強できることになりました。子どもの頃から描いていた「日本に行きたい」という夢が叶うことになったのです。

 本と出会い、人と出会い、いろいろな出会いがあって、夢を実現することができたギップさん。今はマレットファンで、絵本のイベントやあそびのワークショップなど、子どもたちが夢を描くきっかけとなるようなさまざまな出会いの場を作っています。

 

 

好きになることは夢のはじまり

 北部のチェンラーイ県で「絵本のひろば」を開催したときのこと。前年に引き続き楽しみに来てくれた子どもたちが「去年のあの本まだある?」と聞いてきました。ある親は子どもに読ませてあげたい本の題名がわからなくて「こんな内容なんだけど、なんていうんだっけ?」と尋ねてきました。大好きな本と人をつなげることはギップさんにとってとても大きな喜びです。

 手づくりおもちゃのワークショップでは、参加した保育の先生が「おもちゃづくりって楽しい!」と感激していました。保育園に戻り、同じものを作ったところ、子どもたちが大喜びしたそうです。マレットファンから先生へ、そして子どもたちへ。楽しさがバトンのようにつながっていく。それもまた喜びです。

 ほんの一瞬でも「これ、好き!」と感じること。それは子どもにとって夢を見るきっかけになります。好きという気持ちの先には興味があり、その先は自分でどんどん世界を広げていくことができるからです。

 どんな場所に暮らしていても、どんな子どもにも、「チャンスはあるし、夢を叶えることができるんだよ」。自分もそうだったんだから。ギップさんは子どもたちにそう伝えていきたいと思っています。

 

 

マレットファン:http://maletfan.org/jp/