触って伝わる本をつくる ~ARC堀内さんのワークショップ~

バンコクのインターナショナルスクールでARCの堀内さんが子どもたち向けのワークショップを開催しています。

「目の見えない人はどうやって本を読むと思う？」

「Dots！点々！」

「そうだね、点の文字のことを”Braille”って言うんだよ。私たち目の見えない人は点々のデコボコを指で触って読んでいきます」

堀内さんのお話に子どもたちは興味津々。
目が見えないという状況を子どもたちに体験してもらい、驚きや感想を引き出していきます。

「これからみんなに目をつぶっていろんなものを触ってもらうね。どんな感触がするかな？」

「ワォ～気持ちいい。羽だ！」

「うーん、紙みたいかなぁ」

「なんだろ、柔らかいけどなんかかたまり」（←毛糸で編んだもの）

堀内さんのテンポのいい進行に、子どもたちからどんどん声が上がります。

「いろんな触り心地のものがあって、ワクワクするよね。目の見えない人のための本を作るとき、みんなが触ったような素材を使ったら楽しい本ができそうだね。ほかにはどんな素材があるかな？」

「のり！」
「触るとベトベトして楽しいね！でも本だとページ同士がくっついちゃうよ」

「ビーズ！」
「すごくいいね！」

「お米！」
「わ～ぉ！」

「種！」
「すてきだね」
「あ！種って言ったけど、芽が出てきたらどうしよう～。本から葉っぱがどんどん出てきちゃうよ」

子どもたちの想像力にはやっぱり驚かされます。

さて、今回のワークショップの仕上げは、子どもたちが本を作ること。

「さて、これからはみんながデザイナーになって本を作ります。目の見えないお友達が触って楽しめる１ページをデザインして仕上げてください」

「きゃー！デザイナーだって！」

与えられた素材からイメージを膨らませて、子どもたちはテーマを決め、デザインしていきます。
じつにクリエイティブなワークショップ。
難しいけれど、大人のアドバイスや助けをもらって、楽しくて素敵なページができました。

出来上がったページを重ねて本にして、タイの盲学校に届けます。子どもたちから子どもたちへのプレゼントです。

ヘルパーおばちゃんとして参加した気づかされたのは、子どもたちの自由な発想力はもちろん、私たちが普段どれだけ視覚に頼っているかということ。

これまでの人生経験と記憶の積み重ねで、目で見ればすぐどんなものかを理解できます。
でも目で見るだけじゃなく、手で触れた感じ、耳で聞こえる感じ、匂いや味で感じることもまた必要なことなんだと教わりました。

そして、全盲の堀内さんが自分の伝えたいことを相手に伝わるように言葉できちんと伝える姿に、あぁ、これはとても大切なことだ、と深く感銘を受けたのでした。

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